ES細胞できました。


<万能幹細胞>卵子や胚使わず作成…マウスで成功 京大
ESに似た幹細胞、皮膚から
京大再生研、皮膚から「万能細胞」作製に成功


Induction of Pluripotent Stem Cells from Mouse Embryonic and Adult Fibroblast Cultures by Defined Factors (SUMMARY)


こりゃすげぇ。
ES細胞-胚性幹細胞-ってのは、受精卵から増殖してすぐの「未分化の」細胞。
受精卵が増殖してES細胞になって、さらにそこから分化・増殖して胎児のパーツになっていく。
ということは、「体の全ての細胞になる能力を持つ」細胞。別名万能細胞。
詳細な解説はwikipedia-胚性幹細胞


具体的な例としては、ES細胞インスリン産生細胞(膵β細胞)になる能力を持っているはずなので、
何らかの方法によってインスリン産生細胞に分化してやれば、
あとはこれを患者に移植することでⅠ型糖尿病(インスリン産生能低下による糖尿病)が解決、と。


でも、これには問題があって、ES細胞ってのは受精後すぐの胚細胞由来。
つまり、誰かの胚細胞を持ってきて、それに患者の細胞の核を移植して、はじめて患者のES細胞が作れるわけ。
じゃあその胚細胞はどこから持ってくるのか、そもそも受精卵ってのは「極初期の胎児」なわけで、
それを「殺して」ES細胞を作るのは、倫理的に許されるのか。


この問題を解決したのが今回の研究。まぁ、断言していいかは分からんけど。
皮膚の細胞に4種類の遺伝子を導入することで、胚性幹細胞に巻き戻すことができました、とのこと。
本物の肺細胞を持ってこなくても、皮膚からES細胞作れるというのは、それはすごいことです。


それも、4種類の遺伝子、すなわち4種類のタンパク質を導入するだけで「万能性」を得られるとは。
DNA自体は胚細胞も皮膚の細胞も変わらないので、どの遺伝子を発現するかのコントロールによって、
それが胚細胞であるか、皮膚であるか、はたまた膵β細胞であるかを規定しているはず。
そのコントローラーであろう、4種の遺伝子がいったい何者なのかが気になるところ。


まぁ、今回の研究ってのはメカニズムをブラックボックスにしたまま、
それっぽい4つを入れてみたら上手くいきました、ってことのようなので、
実用化には20年かかる、というのも頷ける話。
でも、「できること」が分かったことは偉大なことだと思います。次の研究への足がかり!




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