オバマの医療保険改革でも解決されない


最近、ヲタじゃない話題が少々続いてますが(というか、数年来の驚異の更新率)
今日も今日とて、マジメ系な話題。マイケル・ムーアドキュメンタリー映画、「シッコ」を見ました。


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華氏911」でご存じ、マイケル・ムーア監督で、アメリカの医療保険制度を批判する映画です。
米国医療保険つーても、今オバマ大統領が取り組んでる「無保険」の「貧民層」についてではなく、
一般的な収入があり、普通に暮らしている、保険加入者における医療制度。これが(も)酷い。


民間の保険会社に加入していても、なんやかんやの難癖で保険給付が断られたり、
カバーされきれない自己負担額で破産したり、そういう方々のお話。
一方で、カナダ、イギリス、フランス、キューバは全ての医療が無料!


日本の国民皆保険制度は3割負担と、無料の国に比べれば負担感があるやもしれませんが、
保険料さえキチンと払っていれば、必ず医療を受けることができます。
基本的に3割以上の負担をすることはあり得ない、高額医療には自己負担額の上限まである。
(まぁ差額ベッド代とか混合医療の問題とか、あと保険証の没収とか、まぁあるけどさ)


米国では、医者が医療をやらなければやらない程、ボーナスが増える仕組みだそうですが、
(民間の保険会社の給付額が低く抑えられれば、そっからボーナスが出るらしい)
日本では、やればやった分だけ、医者は収入が増えます。
昔は薬を出せば出すだけ、今でも検査をすればするだけ、医者の収入=医療費が増えていくので、
日本の医療は薬漬けだの検査漬けだのと批判されるのです。まぁ、事実なんですが。


それでも、どっちがベターか、って考えたらねぇ。



ただ、医療費亡国論と言いますか、
毎年1兆円ずつ自然増していく社会保障予算をなんとか抑制しなければならないのも事実で、
そのためには、量を減らすか、質を下げるか、負担を増やすか、どうにかせにゃならん。



公平・無料・国営を貫く 英国の医療改革 (集英社新書)

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そう考えれば、英国のNHS (National Health System) 改革というのは、やっぱり示唆に富むのでしょう。
英国の場合、この本のタイトルの通り、医療制度は完全国営(税金で運営)で無料なのですが、
俺が学生の時に習ったのは、待ち時間が異常に長く、質も低い、医療崩壊の国だったはず。
でもブレア政権下のの改革で、ずいぶんと変わったらしい。


この本自体は、切り口と語り口が、堅すぎる上に専門的で、俺程度の素人には手に余るモノでしたが、
ゲートキーパー制度(大きな病院に行く前にか「かりつけ医(GP)」の診察を受ける必要がある)と、
GPの報酬が、基本的に担当する人口+医療の「結果」に対する成功報酬からなる、という、
この2点を知ることができただけでも、読んだかいはあったと思う。


医者の収入が今と同じになるようにするとしても、
「無駄かもしれない」医療でも、やった行為の分だけ報酬が保証される制度ではなく、
さりとて、「必要な医療行為をしない」ことが得になるわけでもない、
そういう制度設計をしなければならないんだと思いまする。



ノープランで書き出したので、脈絡のない文章になりましたが、まぁ以上。
エンターテイメントとしても「シッコ」は面白かったので、見て損はない映画だと思う。
個人的にはセンセーショナルにイメージで語るだけでなく、データで議論する部分も欲しかったのだけれども。