改正薬事法


6/1で改正薬事法が始まりましたね。
かくいう私もドラッグストアで薬剤師のバイトをしているので、
今日はATP製剤のパニオンコーワ錠を一つ売りました。
これ、第1類医薬品なんで、薬剤師がいないと売れないんだそうです。


まぁアデノシン3リン酸なんて不安定そうなもの、経口投与してどうすんだ?とは思いますけど。。。
胃内のpHではリン酸部分は加水分解するだろうし、そもそも3リン酸化体が吸収されるのか?
アデノシンとしてなら受動拡散も能動取り込みもあるからいいだろうけど、なら、アデノシン製剤でいいような、、、


というような、薬物動態系の人間のツッコミはさておき。



今回の改正で非常に評判が悪いのが、ネット通販規制ですね。
楽天三木谷社長が検討会で大暴れしたけど、結局覆らなかったとか、
離島に住む人でかつ、現在利用してる人限定で、2年間の経過措置が認められたとか。


まぁ、聞きかじりの情報なので、間違ってたらゴメン。


突然こんな記事を上げたのも、日経ビジネスオンラインで特集っぽい記事が目についたから。
改正薬事法が施行:日経ビジネスオンライン
いやぁ、「オンライン」な上に「ビジネス」だから、通販規制=絶対悪な雰囲気がいっそ清々しい。
なんと今回の規制を進めた検討会の面々は、学閥と厚労省の陰謀らしい。


まぁ私としても、今回の通販規制には、正直賛成できません。
対面販売の原則、なんて机上の空論というか、さほど意味はないし、
現実問題、現場のドラッグストアで情報提供なんて別にしてないし。つか、何を提供すればいいのかよく分からん。
相談されれば、それはのりますけど、大学出たばかりのアルバイトなんて、ジオングの足と同レベルですし。


でも、それはそれとして。
上の日経ビジネスオンラインの記事を読んでて違和感があったのは、
三木谷さんは「薬を売る」事業者、利益代表の典型のくせして、なぜそこまで「正義」ヅラなのか。
要するに、俺の商売の邪魔するな、って話なわけでしょ?
規制されて困る患者、消費者、もしくは極小規模の小売業者が存在するのは分かるけど、
三木谷さんがそれを代表してものを語るのは、なんだか気持ち悪い。


ましてや、記事の中にあった

だが、この議論は国民の声を代弁するものなのだろうか。ネット販売は危険なのかどうかを決めるのは、厚労省の役人でも、薬剤師コミュニティーの人間でもない。市場を担う国民である。
という文章だけは首肯し得ない。


「薬」という専門的領域の「安全性」「危険性」を、「市場」「国民」が決めていいとは如何なものか。
日経ビジネスオンラインの記事だから言うけど、それは「市場」の傲慢だと思う。
薬剤師や、薬学の専門家を含む厚労省の役人が危険性を判断してるのは「専門家」だから。
これは傲慢ではないと、一薬剤師として、信じています。専門家にはそれだけの価値があると、私は信じる。


ネット通販規制が、国民の利便性を損なうのは確実です。
しかしネット上での通販は、相談の面倒さ、多量購入の容易さの他にも、
ヘルペスや膣カンジタ薬など再発治療薬の「再発」チェック能力(患者がウソをつくことの心理的抵抗の大きさ)、、、
などなど、店頭販売と比較してリスクが大きくなってることも事実でしょう。


そこまでは認めた上で、これをカバーするだけの努力をネット通販業者は行っている、というアピールこそ、
三木谷さんはじめネット通販推進派の皆さんは声高に行っていくべきだと私は思います。



ついでに。
裁判員制度も私は反対。薬学と一緒で司法も、専門家の価値を認めるべき領域だと思うから。