紅2



あー、そういえば結局1巻の感想も書いてないんだった。


紅 (紅シリーズ) (スーパーダッシュ文庫)

紅 (紅シリーズ) (スーパーダッシュ文庫)



電波的な彼女」の片山憲太郎、新シリーズ。
電波的は、何つーか、男性とは須く女性にはかなわない物だという諦観の念の下、
主人公のマザー・コンプレックスぶりを表現した、なかなかにステキな作品でしたが、
「紅」になって、片山氏の作風の歪みっぷりに益々磨きがかかってきました。


どんな風に歪んでるかと言いますと、女の生き様はかっこよく、男は情けなく、さらにザコンなのも相変わらずだが、
その上今回はロリコン(つーかアリス? ハイジコンプレックスなんて言葉もあるのか)で、
さらにはそのロリキャラに母性を投影しちゃったりなんかして、
学園異能」なオタ的フォーマットと見せかけて、ラスボスは醜く畸形しているけど、その根底にあるのはオタク像、みたいな。


このラスボスってのが、本作ヒロイン紫たん(1ねん3くみ7さい)の実兄で、
ペドフィリアな近親相姦、超金持ちお坊ちゃん。
戦闘能力は皆無で、バトル上のラスボスは明らかにやられ役な筋肉ダルマ・ボディガードでした。


このキャラクターが、俺にはどうも、作者の「オタク像」の畸形に見えるんですよねー。
女>男のところとか、なんか「オタク」否定っぽい感じとか、作者の自己否定な雰囲気を漂わせつつ、
さらにマザコンロリコン描写で逃避先まで提示するという。


あえて言うなら、俺たちはこんなダメな奴らで、ダメなのは分かっているけど、結局ダメなのさ、って感じ?
いや、そこまで言うのは深読みのしすぎだと思うけど。



よくこの人は西尾維新の縮小再生産みたいな言われ方をしているような気がしますし、
実際、特に「紅」になってからは西尾威信モドキな感じがミエミエなんですけど、
それでも、西尾維新いーちゃんのキャラとしての歪みを計算で書いてる気がしますが、
片山憲太郎は作者の歪みが作品自体を歪ませている感じ。


片山憲太郎は舐めちゃいけない作者だと思いますよ。








まぁ、作品の歪みっぷりが凄まじいからと言って、特別面白い訳じゃないことも追記しておきますが。
素材としても、できあがった作品自体としても、俺は「電波的な彼女」の方が上だと思うな。