コラテラル感受性


ドキソルビシンぶっかけてP糖タンパクをover-expressionさせたガン細胞で、
ゲムシタビンの感受性が増えるってなんでやねん!
その上、ベラパミルでP-gpで阻害したら感受性が元に戻るって、意味不明!




タダの愚痴ですが、一応解説。
ドキソルビシン・・・抗ガン剤。
ゲムシタビン・・・ドキソルビシンとは違う作用の抗ガン剤。
P糖タンパク(P-gp)・・・色々な抗ガン剤を細胞から排出するタンパク質。
ベラパミル・・・P-gpの効果を阻害する薬。


ドキソルビシンをガン細胞にぶっかけると、ガンはそれに対抗してP-gpを発現させます。
これでガン細胞はドキソルビシンを排出して、抗ガン剤を無効化できます。


ふつうに考えると、こいつにゲムシタビンをかけた場合、
①ゲムシタビンもP-gpによって排出されるので、無効化される(感受性が下がる)
②ゲムシタビンはP-gpの影響を受けず、感受性に変化はない。
このどちらかのハズ。


でも、実際はゲムシタビンの効果が増えるんだそうな。
ただ、これ自体は説明可能で、ゲムシタビンの作用に関する別のファクター、
デオキシシチジンキナーゼ(dCK)がドキソルビシンをぶっかけた影響で増えてしまったために、
P-gpとは関係なくゲムシタビンの効果が増強されてしまった(感受性が上がった)、ということ。
実際、この細胞ではdCKが増えていたそうです。


でも、となると、だ。P-gpは関係ないんですよ。
ドキソルビシン暴露でP-gpが強発現したことと、ゲムシタビンの感受性は関係なかった。



はずなんだけどなぁ。
でも、こいつにベラパミルという、P-gpの効果を邪魔する薬をかけると、
ゲムシタビンの感受性が元に戻ってしまうんですよ。
結局、P-gpがゲムシタビンの効果増強の原因ってことなのか?


これを単純に考えると、本当は抗ガン剤を効かなくするファクターであるはずのP-gpが、
表面的にはゲムシタビンの作用をパワーアップさせてしまうということか。
そんな馬鹿な。


、、、そんなバカな、だよなぁ。やっぱり。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?db=pubmed&cmd=Retrieve&dopt=Abstract&list_uids=12799644&query_hl=1&itool=pubmed_docsum